物流の枠を超えたユニークな提案を実現
— 部門横断チームで挑む、関西電力のセンター再生プロジェクト —
インタビュー対象者(※業務内容・所属部署は取材当時のものです。)
・関電ロジネット事業部
関電物流グループ 山中 教嗣
・関電ロジネット事業部
関電物流グループ 山中 教嗣
長年にわたって続く、ヒガシ21と関西電力の取引。ヒガシ21には、関西電力関連の仕事を専門に担当する事業部「関電ロジネット事業部」があり、これまで物流業務にとどまらない幅広い提案を行ってきた。この記事では、ヒガシ21にとって初となった部門横断プロジェクトチームが手掛けた既存物流センター再生プロジェクトの事例から、物流の枠を超えたヒガシ21の提案力の源泉について紹介する。
最適な物流構造改革を実現する、部署横断のプロジェクトチームを組成
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「関電プロジェクト」チームは、どのように立ち上がったのでしょうか。
山中
もともと、関西電力さんには、電力資材等を取り扱う「茨木物流センター」という自社倉庫がありました。ヒガシ21は、そこで輸配送業務を担当し、倉庫の管理・運用については関西電力さんのグループ会社が担っていました。しかし、倉庫の管理・運用と輸配送を別々の会社に依頼すると、どうしても連携が取りづらくなるという弊害が生じます。そこで、それらの業務を一括して同じ物流企業に委託することで「物流の効率化」ならびに「物流コストの削減」を図るという構造改革に関西電力さんで取り組まれることになりました。物流を委託する会社はコンペで決定することになり、ヒガシ21もご提案の機会をいただけることになりました。
関西電力さんに対して、ヒガシ21ができる最大限の提案をするためには、様々な部署より専門性の高い人材を集めて取り組む必要があると判断し、ヒガシ21にとって初となる部門横断プロジェクトチームを立ち上げました。今では珍しいことではありませんが、当時の我が社にとっては、異例中の異例のことでした。
物流の枠を超えた「センター再建」の提案
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関西電力さんの課題に対して、ヒガシ21はどのようなアプローチをしたのでしょうか。
山中
関西電力さんは2つの課題を抱えていました。1つ目の課題は「物流の構造改革」。これに対しては、まずは関西電力さんの自社倉庫である茨木物流センターに行って、1つ1つ作業を見せてもらい、1日の業務の流れを把握しました。時間帯によって何をしているのかを表にして、「ここの時間は無駄ですよね」「この作業に対してこの人数は多すぎますよね」と、稼働状況を分析したり、倉庫のレイアウトや使い方を見せてもらうことで、庫内作業人員の適正化や配送車輌回転率の向上に向けた改善提案を練り上げました。
また、こうした運用の効率化を行うことで、保管面積を半分以上削減できることがわかりました。センター内に、関西電力さんの資材保管スペースだけでなく、一般企業に貸出可能なスペースも確保することで、関西電力さんの収益向上が実現できるというご提案に繋げることが出来ました。また、茨木物流センターは開設から30~40年経ち、「センターの老朽化」というもう1つの課題も抱えていました。これに対しては、ディベロッパーと協業し、センターの改修案と建替案を提示し、両案のメリット・デメリットをお伝えした上でお客様に総合的にご判断いただくこととしました。
我々は、この2つの課題を複合的に解決できるようなプランを検討し、最大限の効果を生み出す形の提案を作り上げることに注力したことを評価いただき、受注が決定しました。 -
センター再生にあたり、困難だったことはありますか?
山中
「物流の構造改革」「センターの老朽化」という2つの課題を解決するにあたっての、最大の難所は、今まで行っていた輸配送などの通常業務を止めることができないということでした。関西電力さんは社会のインフラを支える企業です。そのため、通常業務をこれまで通りの品質を保ち、滞りなく行いながら、センターの建て替えを行う必要がありました。この問題を解決するため、茨木物流センターの一部エリアと建て替えの期間中に使用する外部倉庫2拠点、合計3拠点での運用を実施しました。また、複数の場所を経由する専属便は設定せず、通常配送便の空き時間を使用し各車輌の運行範囲内で対応することで、コストを抑制しながら、品質を保った輸配送を実現しました。
顧客の課題の先を見通すヒガシ21の提案力
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提案時に心がけていることはありますか。
山中
まずは信頼関係を築き、物流に限らず、お客様の課題全般とそれを取り巻く環境をお伺いすることで、「物流の枠にとどまらない提案」をすることを大切にしています。「物流会社なんだから、物流業務だけ提案したらいいじゃないか」と思う方も中にはいるかもしれませんが、お客様が抱える課題は物流領域だけにとどまりません。ですから、本プロジェクトにおいても、関西電力さんが抱える課題を解決できるなら、その手段を物流に絞る必要はないと考えていました。プロジェクトメンバー全員が、そういった姿勢で臨んだからこそ、「物流の構造改革」に加えて、「センターの老朽化」という問題に対しても、解決策を提案することができ、「総合的なアプローチで課題を解決できる」と関西電力さんにご評価いただけたのだと思います。 -
ヒガシ21のみなさんは、どのように提案力を培っているのでしょうか。
山中
各部署には長年取引させて頂いている様々な業界のお客様がいます。そのお客様に対して日々、課題解決の提案を行っている経験や知見が、ヒガシ21の総合的な提案力を高めることに繋がっています。本プロジェクトにおいては、多種多様な角度からのアプローチを可能にするために、庫内運用、安全管理、労務管理、システム管理などの分野で豊富な経験を持つ人材からなる部門横断プロジェクトチームを結成しました。一人ひとりの専門性を掛け合わせることで、高いチーム力を発揮することができたと考えています。 -
今後の展開について教えてください。
山中
会社としても、どんどん新しい仕事に取り組んでいますし、取り組もうとする姿勢があります。例えば、もともと関西電力さんの購買部が担当していた資材の購入・配給数をコントロールする業務を2016年からヒガシ21が担っています。新たに2021年度からは電設資材の販売業務も行うことが決定し、さらに上流の業務にチャレンジしていきます。こうした物流の枠を超えた提案ができるのは、ヒガシ21がお客様の事業やニーズをしっかり理解しているからこそ。常にお客様の事業の延長線上に私たちが解決できる課題がないか、考える姿勢を従業員みんなが持っているからだと自負しています。
数々の企業のロジスティクス業務を担い、積み上げてきた経験と知見。専門的なノウハウを持った、部門を横断したチームを作ることで、課題に対して多様なアプローチが可能となり、高い提案力となってあらわれている。今後も、物流企業としての専門性と豊富な経験を活かし、物流の枠を超えた提案で顧客の想像を上回る課題解決を実現していく。
本案件の担当事業所
関電ロジネット事業部 関電物流グループ
〒567-0072 大阪府茨木市郡4-17-47