株主の皆様には日頃より当社へのご支援を賜りまして、心よりお礼申しあげます。
さて、先日、中間決算の発表をいたしましたが、株主の皆様には当社の状況、 そして今後の見通し等を詳細にお伝えできればと思います。ご一読いただけますようよろしくお願い申しあげます。

株式会社ヒガシトゥエンティワン
取締役 代表執行役社長  児島 一裕

2024年3月期第2四半期の業績評価と今後の業績見通しについて教えてください。

業容拡大と収支構造改善に取組んだ結果、当第2四半期の業績は売上高195億円(前年同期比19.8%増)、経常利益12億6百万円(同25.1%増)と想定を大きく上回り、ともに過去最高を更新しました。上期予算超過達成に加え、下期も堅調な業績推移を見込んでいることから、売上・利益ともに過去最高を見込んでいた通期の業績予想を、今回更に上方修正いたします。

【2024年3月期第2四半期の業績評価】

増収の要因としては、大手EC向け大型3PLセンター(北大阪LC、鳴尾浜LC、流山ILC・流山ⅡLC)の想定を上回る物流量、2022年10月に子会社化した株式会社旅人の新規連結開始、大手取引先のカタログ発送業務、首都圏におけるオフィス移転業務の拡大、大手コンビニ向けデジタルサイネージ(広告用ディスプレー)キッティング業務の大口受注、その他既存顧客からの受注回復などが挙げられます。
また経常利益についても、大型3PLセンター開設に伴う、備品・什器・倉庫消耗品の購入等の投資費用や、成長事業への人材投資等が発生したものの、業容拡大や継続的な収支構造改善による損益分岐点の引き下げにより、大幅な増益となりました。

【今後の業績見通し】

2024年3月期第2四半期の業績発表に合わせ、通期の業績予想を上方修正しました。下期は大型3PLセンターの安定稼働に向けた人材投資に加え、その他の事業領域でも、更なる成長を支えるための車両投資や生産性を高めるためのマテハン投資等が予定されているものの、下半期は大型3PLセンターの当初想定を上回る物量が継続する見通しであることやオフィス移転事業の拡大基調の継続などを見込んでおり、通期でも売上・利益ともに当初予算を大幅に超過する見通しです。
売上高については400億円(前年同期比14.9%増)、営業利益22億円(同15.3%増)、経常利益23億円(同13.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14.4億円(同13.9%増)と、過去最高を見込んでいた前回発表から更なる増加を予想しています。

(百万円)

2024年3月期
連結業績予想
【ご参考】
2023年3月期実績
金額 前期比 金額
売上高 40,000 14.9%増 34,807
営業利益 2,200 15.3%増 1,908
経常利益 2,300 13.5%増 2,026
親会社株主に
帰属する当期純利益
1,445 13.9%増 1,268
1株当たり
当期純利益(円)
109.8 - 96.82

株主還元の方針について教えてください。

業績の上方修正に合わせ、期末配当を当初予想の32円から2円積み増し、34円とさせていただく予定です。

当社では、株主還元について長期的発展の礎となる財務体質の強化と、安定配当の維持を基本としつつ、成長により獲得した利益を連結配当性向30%以上を目安に還元する方針としています。
2024年3月期末配当予想を1株32円としておりましたが、今般の業績予想の上方修正に合わせ、当初予想から更に2円積み増し、34円とさせていただく予定です。

1株当たり配当金・配当性向の推移

1株当たり配当金(円)配当性向(%)

2024年問題への対応について教えてください。

当社グループでは2024年問題への対応として、倉庫へのマテハン導入やデジタル技術の活用により、業務の効率化・省力化を進めています。またグループ各社の関係規程の見直しとともに、ドライバーの労働環境整備等にも取組んでいます。

2024年問題ではトラックドライバーの時間外労働の上限規制に伴い輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されております。こうしたなか、当社では限られた時間・資源のなかで最大限業務効率性を高めていくことが最も重要と認識しており、物流業務の効率化・省力化に取組んでいます。
具体的な取組みをご紹介しますと、まず「効率的な輸送網構築の観点で、WMS(倉庫管理システム)や TMS(配車管理システム)を自社開発し活用する」「荷物の識別にカメレオンコードと呼ばれるカラーバーコードを活用して、セキュリティ向上とともに管理業務を効率化する」といったデジタルを活用した業務効率化に取組んでおり、デジタル分野に、積極的に投資をしております。また荷待ち時間等の解消に向けてデジタル活用に加え、自動コンベアや自動ソーター(仕分け機)等の大型マテハンを、直近開設した大型3PLセンター(鳴尾浜 LC、流山ⅠLC・流山ⅡLC)を中心に導入しています。
時間外労働の上限規制については、ヒガシトゥエンティワンでは従来より取組みを進めるなか既に基準をクリアした規程整備・労働時間管理を実施しております。また一部グループ会社では今年度中に法対応に即した規程等の整備に取組み、労働環境整備等を進めてまいります。
引続きこうしたグループでの取組みに加え、物流業界全体での取組みや国の政策もフォローしながら、2024年問題に関する課題解決に向けた取組みを迅速に進めてまいります。

中長期的な事業成長に向けた取組みや考えについて教えてください。

中長期的な事業成長に向けた取組みに関し、トピックスを2点ご紹介します。

【中部エリアでの新規倉庫の開設】

当社では、愛知県小牧市において2025年2月開設に向けて新規倉庫「小牧ロジスティクスセンター(仮称)」の建設を開始しています。本年度も4月に、大手e-コマース社向け新規3PL業務の受託に伴い「3センター・4拠点」を新規開設するなど積極的に倉庫面積を拡大してきておりますが、今後の更なる事業推進を見据えると、自社倉庫のキャパシティは成長の制約条件になると考えます。そうした認識のもと、今般新たに中部エリアでの倉庫開設を決定いたしました。
中部エリアでの開設の狙いは、首都圏・近畿圏と比べ物流施設のストックが低く、今後需要が高まると予想される点、また当エリアは2024年問題における長距離輸送問題への解決策として、関東・関西間の「中継拠点」としての需要も今後見込まれる点があります。小牧ロジスティクスセンター(仮称)は主要高速道路へのアクセスも良く、今後は当センターを中部エリアの基幹拠点として、首都圏への広域配送ニーズにも対応していきたいと考えています。

【従業員エンゲージメント調査の開始】

当社グループでは、人的資本価値向上に向けた取組みの一環として、2023年8月に従業員エンゲージメント調査を実施しました。職場環境や働きがいといった金銭的価値以外の要素の体験が従業員のパフォーマンスやロイヤリティと相関するという研究成果や、人的資本開示指針の要請も踏まえ、今回初めて調査を実施したところです。グループ各社・各事業部別に回答結果の分析を進め、今後の取組を検討してまいります。
私は会社の成長には従業員がイキイキと活躍することが不可欠であり、そのポテンシャルを存分に発揮するには職場での心理的安全の確保が重要だと考えています。10月に開催したグループ幹部会議ではマネジメント層に対してその重要性を伝え、各職場での具体的な取組を促しました。こうした取組もエンゲージメント向上に繋がるものと思います。
今後も当社グループでは従業員がそのポテンシャルを十分に発揮できるよう、働きやすい職場環境づくりに精力的に取組みたいと考えています。