株主の皆様には日頃より当社へのご支援を賜りまして、心よりお礼申しあげます。
さて、先日第101期(2022年4月1日~2023年3月31日)の決算の発表を行いましたので、株主の皆様には当社の状況、そして今後の取組み等を詳細にお伝えできればと思います。ご一読いただけますようよろしくお願い申しあげます。

株式会社ヒガシトゥエンティワン
取締役 代表執行役社長  児島 一裕

Q12023年3月期の業績についてどのように評価されていますか。

2023年3月期は、「中期経営計画2023」の最終年度、総仕上げとして全従業員が目標達成に向け一丸となって業務に取組みました。その結果、業容拡大を着実に進めるとともに、経費節減・業務効率の向上を目指した取組みについても成果を上げることができました。
売上高は348億円(前年同期比24.5%増)、経常利益は20.2億円(同21.3%増)と、ともに前年度を大きく上回り、過去最高を更新いたしました。

増収の要因としては、2021年10月より開始したインフラ会社様向け資材調達3PL事業の通年化による売上の増加、当期首より新たに連結開始した山神運輸工業株式会社の付加価値の高いエンジニアリング事業の増加、オフィスサービス事業の進展、2022年10月より新たに株式会社旅人を連結開始したことなどが挙げられます。
また経常利益についても、大型3PLセンター開設に伴う、備品・什器・倉庫消耗品の購入等の投資費用や、成長事業への人材投資等が発生したものの、業容拡大にあわせて実施した経費削減への取組や業務効率化を推進した結果、大幅な増益となりました。

中期経営計画2023(2021/03~2023/03期)の振返り

次に、中期経営計画2023の3年間の業績推移にも触れておきたいと思います。コロナ感染症拡大の初年度にあたる2021年3月期については減収増益・配当は維持となりましたが、この年を除けば着実に増収、増益、増配を果たしてまいりました。堅調な業績の推移に伴い、2023年3月期は2度にわたり中期計画の売上高目標を上方修正し、最終の売上高目標を330億円としておりましたが、最終的にはそれを更に上回る売上高348億円で計画を達成いたしました。

売上高 (単位:百万円) 売上高
経常利益 (単位:百万円) 経常利益
1株当たり配当金 (単位:円) 1株当たり配当金

また「中期経営計画2023」では人・倉庫・マテハン(ベルトコンベアや梱包機器など)・車両・システムを最適に組み合わせる物流設計力を基盤に、「オフィスサービス事業」「3PL事業」「ビルデリバリー事業」、そして成長速度を加速させるための「M&A」を重点事業として位置付けておりましたが、それぞれの達成状況について、お伝えします。

―「オフィスサービス事業」

認証・追跡システムを活用した万全のセキュリティを強みに、事務所移転・引越しなどを請け負う「オフィスサービス事業」では、関東圏での人員増強や業容拡大施策の進展等により、売上高は55億95百万円(前年同期比19.2%増)となり、中計目標50億円を超過達成しました。

―「3PL事業」

長年の輸送・庫内作業の実績・ノウハウと800社超の協力会社を持つ強みを武器に企業物流を一括して受託する「3PL事業」では、EC・インフラ会社向け3PL事業の拡大に加え、精密機器メーカー向け3PL業務を開始したこと等により、売上高は78億31百万円(同56.3%増)となり、中計目標57億円を超過達成しました。

―「ビルデリバリー事業」

独自のエレベーター・荷捌駐車場管理システムなどを活用し、ビル内の配送を効率化する「ビルデリバリー事業」では、メール室事業を拡大したものの、コロナ禍の影響を受け、テナント企業のオフィス出社率低下に伴う取次物流量減少の影響により、売上高は17億67百万円(同9.8%増)となり、中計目標18億円にわずかに未達となりました。

―「M&A」

2022年2月には、重量物輸送・エンジニアリング事業に強みを持つ山神運輸工業、同年8月には、システムに関する技術サポート全般に強みを持つ旅人が新たにグループに加わり、事業成長に大きく貢献いたしました。

オフィスサービス事業

関東圏での人員増強やワンストップサービス※1の充実等の業容拡大施策の進展等により、中期目標超過達成
 

(単位:百万円) オフィスサービス事業
ビルデリバリー事業

メール室事業は業容拡大したが、コロナ禍の人流抑制による取次物量が減少していることにより、中期目標若干未達

(単位:百万円) ビルデリバリー事業
3PL事業

EC・インフラ会社向け3PL事業の拡大に加え、精密機器メーカー向け3PL業務を開始したこと等により、中期目標超過達成

(単位:百万円) 3PL事業
M&A

グループの総合力を高めるべくM&A戦略を加速
 
 

(単位:百万円) M&A

※1 ワンストップサービスとは、内装、電気工事業務等の移転業務に伴う業務を一括で請け負うサービスのこと。
※2 達成率は当初中期目標に対する2023年3月期実績の割合で算定しております。

Q2株主還元の方針についてお聞かせください。

当社は株主の皆様への還元方針として、長期的発展の礎となる財務体質の強化と安定配当の維持を基本としつつ、成長により獲得した利益を、連結配当性向30%以上を目安に還元する方針を掲げています。
業績が堅調に推移したことにより、期末配当は前回予想の28円から更に2円積み増し、2023年3月期の最終的な1株当たり配当金は30円(配当性向31.0%)とさせていただきます。

当初、「中期経営計画2023」の最終目標としては、1株当たり20円の配当予想を掲げておりましたので、今回の30円という配当は大幅な増配となります。
こうした配当政策は、株価にも大きなインパクトを与えるものと考えています。「中期経営計画2023」初年度の2020年4月1日の株価は470円でしたが、最終年度の2023年3月31日株価の終値は954円と、この3年間で当社株価は484円上昇し、2倍超の水準となりました。今後も株主の皆様に評価いただけるよう、業績を着実に伸ばし、株主還元を進めてまいります。

1株当たり配当金・配当性向の推移

1株当たり配当金(円)配当性向(%)

Q3「中期経営計画2026」における経営方針・戦略について教えてください。

2023年5月12日に「中期経営計画2026(2024/03月期~2026/03月期)」を発表いたしました。「グループVISION2030」達成に向けて、前中計での成果を踏まえ『成長の礎を糧に飛躍する3年』をテーマに、「事業成長」と「サステナビリティ経営」を軸として、更なる事業成長に取組んでまいります。

2023年度からスタートした「中期経営計画2026」は、前中期計画を遂行する中で磨かれた物流設計能力・人材等を成長の礎とし、更に飛躍する3年間として各取組を進めていく計画です。
また、今次中期経営計画では事業成長とともに、サステナビリティ経営の推進を中核的な戦略と位置付けております。企業の持続的な成長や価値創造のためには、社会との共創が不可欠となっております。企業価値を高めるべく、サステナビリティに関する諸施策についても注力してまいります。
今次中計における財務面での数量目標は下表の通りです。長期ビジョン発表時に設定していた375億円から大幅に上方修正し「売上高420億円」を目標といたします。また前中計3年間の間に、売上成長と同時に既存事業の効率化や本社間接費を中心とした経費効率化を進め、筋肉質な経営体制の構築を進めることができましたので、経常利益目標は25億円といたします。なお、経常利益目標は、今次中計にて初めて設定・開示するものです。

(財務面における数量目標)

Q42023年5月に公表されたグループパーパス制定の背景をお聞かせください。

事業をめぐる厳しい環境や事業領域拡大に伴い、従業員一人ひとりが当社グループの社会的存在価値を再認識し主体的に業務に取組んでいく必要があると考え、グループパーパス「 安心をずっと、驚きをもっと。人と技術とITで、新たな価値を創造し、豊かな明日へつなぎます。」を制定いたしました。

グループパーパスの文言が意味するものについて説明いたします。
「安心をずっと、驚きをもっと。」は“サステナブルな企業経営とサービス・品質の高さ”を、「人と技術とITで、新たな価値を創造し、」という部分は“顧客の課題を解決する高いサービス力の提供と新しい価値を創造していくという意欲”を表しています。そして「豊かな明日につなぎます。」には“当社グループと顧客をつなぐ、更には持続可能な企業活動や高品質のサービスで、豊かな未来へつないでいくという意志”が込められています。
ヒガシトゥエンティワングループでは、グループパーパスを共通の価値観として、全従業員が一丸となって、事業活動に取組んでまいります。

Evolution for Customers 全進で未来へシンカ